マイクロX線CTによるラミネートフィルムの解析

Application Note B-XRI1016

はじめに

アルミラミネートフィルムは医薬品や食品の包装、リチウムイオン電池の包材に使用されていますが、フィルムの製造や包装パッケージへの加工の際、ピンホールや凹凸などの異常が生じることがあります。小さなピンホールの目視検査は困難で、凹凸異常の原因は外観検査ではわからないため、このようなラミネートフィルムの異常部位については、高分解能かつ非破壊で内部構造を観察する必要があります。マイクロX線CTは数µmオーダーの分解能で試料内部構造を非破壊観察できるため、異常部位の特定や原因究明に有用です。ここでは凹凸のあるアルミラミネートフィルムをCT撮影し、内部構造を観察しました。

測定・解析例 

凹凸のある厚さ150 µmのアルミラミネートフィルムを3.5 µm/voxelでCT撮影しました。凹凸部分のCT断層画像と立体画像を示します(図1)。断層画像上ではアルミ層が白色、樹脂層が灰色、空隙が黒色に表示されています。 凹凸部分ではアルミ層がうねり、アルミ層と樹脂層の間に空隙が生じていました(図1(左)a)。また、凹凸部分の周辺で、アルミ内側の樹脂に剥離が見られました(図1(左)b)。最表面の樹脂層の厚さにむらが見られたため、断層画像上と立体画像上に、厚さの分布を色分けしました(図2)。凹凸部分以外の樹脂層の厚さは約30 µmありますが、凹凸部分の樹脂層の厚さは10 µm以下になっていることがわかります。

アルミラミネートフィルムのCT断層画像(左)と立体画像(右)

図1 アルミラミネートフィルムのCT断層画像(左)と立体画像(右)

CT断層画像(左)と立体画像(右)に対する樹脂層の厚さ分布表示

図2 CT断層画像(左)と立体画像(右)に対する樹脂層の厚さ分布表示

推奨装置

  • マイクロX線CT CT Lab HX

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