マイクロ X 線 CT による 薬剤粒子コーティングの観察と解析
Application Note
B-XRI1013
はじめに
顆粒剤や口腔内崩壊錠に含まれる薬剤粒子には、苦味をマスクするコーティングが施される場合があります。このような粒子のコーティング処理や、コーティング済粒子を含む錠剤の打錠条件検討の際に、コーティングの厚さ、また剥離やひび割れのような不良を観察したいというニーズがあります。マイクロX線CTには数µmオーダーの空間分解能があり、非破壊でコーティングの状態を観察したり、厚さを数値化したりすることができます。
測定・解析例
X線CTでは、試料によるX線吸収の度合いが輝度値の違いとなり、空隙は黒色、高密度物質は白色で描画されます。薬剤コーティング粒子を2.1 µm/ voxel のボクセル分解能でCT撮影し、空隙、コーティング層、コーティング不良箇所を確認できました(図1)。輝度値にもとづいてコーティング層を抽出し、断層画像上でコーティング層の厚さを色分けしたところ、部位により厚さが異なることがわかりました(図2)。コーティング層の立体画像から、赤丸で拡大した粒子は半球形をしており、コーティングの一部が欠損していることがわかります(図3)。ヒストグラムからは解析された全ての粒子についてのコーティングの厚さの分布や平均値を確認することができます(図4)。
図1 粒子の断層画像
図2 断層画像上でのコーティング層の厚さ分布
図3 立体画像上でのコーティング層の厚さ分布
図4 解析された全粒子のコーティング層の厚さ分布
推奨装置
- マイクロX線CT CT Lab HX