エネルギー分散型蛍光X 線分析装置NEX DE  -缶詰食品中に含まれる金属元素の分析-

Application Note B-XRF3012

はじめに

缶詰食品中

缶詰食品中には、缶の素材として使われているブリキから溶出したスズ(Sn)が含まれています。国連食糧農業機関 (FAO) と世界保健機関 (WHO) が合同で作成した国際的な食品規格であるCODEX(1)では、缶詰食品中に含まれるSnの上限値を250 mg/kgと定めており、これを簡易に分析する方法が求められています。今回,エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX DE を用いて缶詰の果物中に含まれるSnの分析を行った例をご紹介します。

測定・解析例

市販されている果物のシロップ漬け缶詰を開封し、冷蔵庫で数日放置した後に食品用ミキサーでペースト状にして試料容器に詰め、 NEX DE を用いて測定時間30秒でSnの測定を行いました。定性スペクトル及び試料容器に充填したペーストの画像を図1,2に、Sn含有率の分析結果を表1に示します。開封直後では100 mg/kgと基準の範囲内であったSnの含有率が、5日後には缶からのSnの溶出が進んだことで468 mg/kgと上限値を上回っていることが分かります。このように、NEX DEを用いることで缶詰食品中のSnのスクリーニング分析が可能です。

Snの定性スペクトル

図1  Snの定性スペクトル

試料調製の流れ

図 2  試料調製の流れ

表1  Sn 含有率の分析結果 (mg/kg)

Sn 含有率の分析結果 (mg/kg)

CODEXでは、 Snと同様に缶詰食品中に含まれる鉛(Pb) についても上限値1 mg/kgを定めています。図 3に、果物ペーストに 1 mg/kgのPbを添加した試料の定性スペクトルを示します。Pbを添加していない試料と比較してPb由来のピークが得られており、Snと同様にPb の分析にも NEX DE を利用できることが分かります。

Pbの定性スペクトル

図3  Pbの定性スペクトル

推奨装置

  • エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX DE

(1) 食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格 (CODEX STAN 193-1995)

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