エネルギー分散型蛍光X 線分析装置 NEX DE -農産物中残留臭素の分析-
Application Note
B-XRF3011
はじめに
日本の食品衛生法では、農産物中に残留農薬として含まれる臭素(Br)の基準値が設定されています(表1に農産物の品種ごとの上限値を示します)。エネルギー分散型の蛍光X線分析装置は取扱が容易で測定に要する時間も短いため、効率の良いスクリーニング分析が可能です。今回、小麦粉中に残留するBrの含有率をエネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX DE を用いて分析を行った例をご紹介します。
表1 農産物中のBr残留量の上限値 (ppm)
※残留農薬等ポジティブリスト(1)より抜粋
測定・解析例
ポリエチレン製の試料容器に6 ppm のBrを含む小麦粉標準試料を充填し、NEX DE を用いて測定時間30 秒で分析を行いました。得られた定性スペクトルを図1に示します。小麦中のBrの含有率基準値50 ppm に対し、それを下回る6 ppm のBrのピークを明確に検出できています。
図1 Brの定性スペクトル (6 ppm)
表2 繰り返し分析結果及び検出下限(ppm)
同様の測定を5回行った際のBrの分析結果及び検出下限を表2に示します。変動係数2.7%、検出下限0.2 ppmと良好な結果が得られていることが分かります。
以上のように、NEX DE を用いることで短時間で農産物中に残留するBrのスクリーニング分析が可能です。
推奨装置
- エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX DE
(1) 日本食品化学研究振興財団: http://www.ffcr.or.jp/Zaidan/FFCRHOME.nsf/pages/MRLs-n