卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II 医薬中間体のスクリーニング分析

    Application Note B-XRF3007

    はじめに

    全反射蛍光X線分析法(TXRF)は、試料すれすれに入射したX線により表面近傍元素を効率良く励起でき、かつバックグラウンドの原因となる散乱X線がほとんど発生しない測定手法です(図1)。微量液体をガラス等の基板上に点滴し、乾燥させた試料を用いることで、その特長を活かした微量元素の高感度分析を行うことが可能です。

    TXRFの原理

    図1 TXRFの原理

    測定・解析例

    不純物元素分析で用いられる手法の一つに、オーバーラップ等の干渉の少ない多元素分析手法で測定時間が短い等の理由から蛍光X線分析法(XRF)も検討されています。中でも必要となるサンプル量が少なくて済むTXRF法は有効な手法として考えられています。医薬品の分析は開発段階と最終製品の品質管理で行われます。特に開発段階では、活性化合物のタグの確認や残留触媒の確認など、迅速で簡便な分析手法が求められており、TXRFはそのニーズにマッチします。
    TXRFでは10L程度の液体をガラス等の基板上に点滴し乾燥させた試料を測定します。簡単な試料調製で定性分析を行うことが可能で、例えば中間体のスクリーニング分析を短時間で実施できます。また、内標準添加法を用いることで、水溶液中の微量元素の定量分析を容易に行うことが可能です。
    XRFではNi-Pd-PtやCl-Brの様に化学的に性質の似ている同族元素も分離してそれぞれ測定することができます。水溶液中のppmオーダのPdおよび10ppbのBrの定性スペクトルを図2に示します。バックグラウンドの低いSN比の良いスペクトルが得られています。
    公定法であるICP-MSでは廃液処理などの課題もあり、簡便に中間体製造過程で分析する手法が望まれていました。TXRFは簡単な前処理で高感度測定を行うことができるので、スクリーニング分析に応用可能な手法です。

    Pd 10, 5 ppm, ブランク(左)およびBr 10 ppb, ブランク(右)のスペクトル

    図2 Pd 10, 5 ppm, ブランク(左)およびBr 10 ppb, ブランク(右)のスペクトル

     

    表1 各元素の検出下限(ppb)

    各元素の検出下限(ppb)

     

    推奨装置

    • 卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II

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