卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II ガスフローによる妨害線の除去

Application Note B-XRF3004

はじめに

全反射蛍光X線分析法(TXRF)は、試料すれすれに入射したX線により表面近傍元素を効率良く励起でき、かつバックグラウンドの原因となる散乱X線がほとんど発生しない測定手法です(図1)。大型の装置と異なり、試料は大気雰囲気下で測定されるため、簡便に高感度測定を行うことができます。

TXRFの原理

図1 TXRFの原理

測定・解析例

ガラス基板などの試料と検出器の間は大気雰囲気に設定されています。大気中には約1%のArが存在し、入射したX線により励起され蛍光X線が発生します。発生したAr-Kは約3.0 keVのエネルギー位置に現れ、試料から発生した蛍光X線に重なり、検出を妨害することがあります。

ガスフロー模式図

図2 ガスフロー模式図

検出器先端部からN2あるいはHeガスを放出し、試料-検出器間の大気を押し出すことで、大気中のArを除去することが可能です(図2)。フローガスにN2を用いた際のAr-K除去効果を図3に示します。約3 keV付近のArピークが除去され、Cl-Kが明確に確認できるようになりました。

また、大気中には約1 ppmのKrが存在します。ガスフローによりこのKrも除去可能となります。N2ガスフローによるKr-Kの除去効果を図4に示します。Kr-Kの影響を受けずにPb-L1を計測可能です。

N2ガスフローによるAr-Kの除去効果

図3 N2ガスフローによるAr-Kaの除去効果

N2ガスフローによるKr-Kの除去効果

図4 N2ガスフローによるKr-Kaの除去効果

推奨装置

  • 卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II

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