卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II 入射角度変更による表面分析
Application Note
B-XRF3003
はじめに
全反射蛍光X線分析法(TXRF)は、試料すれすれに入射したX線により表面近傍元素を効率良く励起でき、かつバックグラウンドの原因となる散乱X線がほとんど発生しない測定手法です(図1)。さらに入射X線角度を高めに変更することで、励起深さを変えることが可能となり、情報深さの異なる測定ができます。
図1 TXRFの原理
測定・解析例
ガラス基板上に20 nmのNiを成膜した試料を異なる入射角度にて測定しました(図2)。結果を図3に示します。励起源がMoの場合、臨界角は0.11°です。入射角0.02°は全反射領域となり、極表面の元素情報が得られます。一方、入射角0.40°では臨界角を越えているため、全反射条件を満たさず、より深部の元素情報が得られます。
図2 Ni薄膜試料
全反射条件(0.02°)では、ごく表面の元素のみが選択的に励起され、ガラス基板上のNiのみが強く検出されます。ガラス基板の主成分であるシリコン、カルシウムおよび鉄はほとんど検出されていません。高角度照射(0.40°)の場合、励起X線はより深部まで到達するため、基板成分のX線強度が計測されるようになります。このように入射角を任意に変更することで情報深さを選択することができ、固体表面のキャラクタリゼーションに活用できます。
図3 入射角度を変えたNi薄膜(25 nm)のスペクトル
入射角度変更範囲: -0.05 ~ +0.45°(プログラム制御)
推奨装置
- 卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II