卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II 高エネルギー励起による重元素の分析

    Application Note B-XRF3002

    はじめに

    全反射蛍光X線分析法(TXRF)は、試料すれすれに入射したX線により表面近傍元素を効率良く励起でき、かつバックグラウンドの原因となる散乱X線がほとんど発生しない測定手法です(図1)。標準励起源であるMo(約17 keV)に加え、30 keV以上の高エネルギー励起源による重元素分析を行うことができます。

    TXRFの原理

    図1 TXRFの原理

    測定・解析例

    排水中のCdや触媒等に用いられるPdの重金属を蛍光X線で測定する場合、汎用蛍光X線装置では散乱X線強度が非常に強く出る領域に対象ピークが現れます。X線フィルター等にて散乱線強度を減少させる方式でもS/N比の良いスペクトルを得ることは難しいことが知られています。しかしTXRF法ではその特性を活かし、低いバックグラウンド上に対象ピークのスペクトルを得ることができます。
    ガラス基板にCdを1 ppm含む水溶液をマイクロピペットにて10 L点滴し、乾燥させた試料を測定したチャートを図2に示します。TXRFの特長である低いバックグラウンド上に明確なピークが確認できます。一般にMo励起ではCd-Lを分析線に用いますが、他の元素の重なりの影響を受けやすいことが知られています。本装置ではスペクトルの重なりの少ないCd-Kを測定線に使用できます。

    農薬や色素などの炭素-炭素結合形成反応のために用いられる遷移金属触媒として活用されるPdの使用量を抑えるため、濃度管理を行うことは重要です。Pdをそれぞれ5 ppm,10 ppm含む水溶液の検量線を作成した結果を図3に示します。良好な相関を持つ検量線が作成でき、本検量線から導き出される検出下限は0.01 ppmでした。

    水溶液中の1 ppm Cdスペクトル

    図2 水溶液中の1 ppm Cdスペクトル

    水溶液中のPd検量線

    図3 水溶液中のPd検量線

    推奨装置

    • 卓上型全反射蛍光X線分析装置 NANOHUNTER II

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