ロッキングカーブ測定によるIII族窒化物薄膜の 結晶性(チルト・ツイスト)評価
Application Note
B-XRD2001
はじめに
近年、GaNを中心としたIII-V族材料が注目され、発光素子(青~紫外)や、パワーデバイスの開発が進められています。これらのデバイス特性は製膜される薄膜の結晶性と関連がありますが、この結晶性を評価する方法としてX線ロッキングカーブ法が挙げられます。今回は、サファイア基板上に製膜されたGaN膜のチルト(成長方位の結晶軸の傾き)分布・ツイスト(表面面内の結晶軸の回転)分布を、ロッキングカーブ(入射角ωスキャン、面内回転角φスキャン)にて評価しました。
測定・解析例
c面サファイア基板上に製膜されたGaN薄膜(膜厚2 μm)において、そのチルト分布をGaN 反射のロッキングカーブ(ωスキャン)、そのツイスト分布をGaN 反射のロッキングカーブ(φスキャン)にて評価しました。以下に各ロッキングカーブ測定を行う際のゴニオメーターの配置(図1、図3)と、各格子面によるロッキングカーブ測定結果(図2、図4)を示します。
図1 チルト分布の測定
図2 GaN 反射ロッキングカーブ
図3 ツイスト分布の測定
図4 GaN 反射ロッキングカーブ
GaN 反射とGaN 反射ロッキングカーブ半価幅より、GaN結晶のチルト分布は0.065° (234 arcsec.)、ツイスト分布は0.27° (972 arcsec.)と見積もられました。なお、今回の測定はインプレーンアーム付水平型ゴニオメーターにて測定を行ないました。このゴニオメーターの場合は、チルト分布とツイスト分布のいずれも試料水平の状態のまま測定が可能なため、脱落の心配はなく簡便に測定することが可能です。
推奨装置
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab (インプレーン軸・φ軸搭載)+ RxRyアタッチメント