デスクトップX線回折装置を用いた 0.01mass%の遊離けい酸の検出
Application Note
B-XRD1004
はじめに
結晶質シリカの粉じんは国際的にも発がん性物質として認知されています。厚生労働省では、商取引する原料や製品中に結晶質シリカを 0.1 mass% 以上含有する可能性がある場合には、その検査結果を化学物質安全データシート(MSDS)に記載することを義務付けています。一方で非晶質シリカはMSDSへの記載の義務がないため、結晶質シリカのみを迅速かつ確実に分析する方法として、X線回折法が注目されています。ここでは、デスクトップX線回折装置に高速1次元X線検出器を搭載し、極微量の結晶質シリカを検出した例を紹介します。
測定・解析例
高速1次元X線検出器を搭載したデスクトップX線回折装置を用いて、アルミナに 0.01~0.05 mass% のシリカを混合した模擬試料を測定しました。一測定あたり17分で測定した結果(図1)、0.01 mass% のシリカを検出することができました。このように、高速1次元X線検出器を搭載したデスクトップX線回折装置では、シンチレーションカウンターの検出限界であった 0.05 mass% よりも低い検出限界が得られ、厚生労働省の規定値の 1/10 の濃度の結晶質シリカを検出することが可能です。
図1 デスクトップX線回折装置と高速1次元X線検出器を用いたX線回折プロファイル
(Y軸方向にオフセットをかけています)
推奨装置
- デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)