ポリエチレングリコールの熱安定性 -TG-MS による解析-

Application Note B-TA2042

はじめに

ポリエチレングリコール(PEG)およびポリエチレンオキシド(PEO)は、その多様な特性、優れた溶解性から、様々な産業で使用されており、特に生体への親和性が高いことから医薬品、化粧品、食品分野で多用されています。ここでは異なる分子量分布を有するPEG、PEO試料について、その熱安定性をTG-MSの結果から議論しました。

測定・解析例

平均分子量400、2000、100000のPEGおよびPEOを不活性のHe雰囲気にて室温~500℃の範囲で20℃/minにて昇温しました。MSのイオン化には電子イオン化(EI)を使用しました。その結果、図1(a)のようなTG曲線が得られました。分子量400の試料は200℃付近から減量が始まる一方で、分子量2000、100000では共に350℃を超えて減量が始まります。減量速度が最も大きくなった温度でのマススペクトル(図1(b))を比較すると、分子量400と分子量2000、100000で発生ガス由来のマススペクトルに違いが見られました。分子量2000、100000で比較的強く検出されたm/z59および73は、図1(b)に示したような構造を持つフラグメントイオンであると推測され、発生ガスの分子構造の違いを反映している可能性があります。

PEG、PEOの(a)TG測定結果と(b)マススペクトル

図1 PEG、PEOの(a)TG測定結果と(b)マススペクトル

推奨装置・推奨ソフトウェア

  • TG-DTA8122およびMASS-IFGC/MS
  • Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア

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