ウレタンフォーム加熱挙動における雰囲気の影響
Application Note
B-TA2038
はじめに
ウレタンフォームはそのクッション性や断熱性を生かし、様々な分野で利用されています。ここではウレタンフォームを加熱した際の雰囲気(不活性、酸化性)の影響を試料観察TG-MSにて調べました。
測定・解析例
ウレタンフォームを不活性のHe雰囲気及び酸化性の20%O2/He雰囲気にて室温~600℃の範囲で20℃/minにて昇温しました。MSのイオン化には電子イオン化(EI)を使用しました。その結果、図1(a)のようなTG-DTA曲線及びMSシグナルの温度プロファイルが得られました。不活性雰囲気では吸熱ピークを伴う二段の減量が確認され、一段目の300℃付近の減量時にはTDI(トルエンジイソシアネート、m/z174)が発生しています。二段目の400℃付近の減量時にはエーテル系ポリオール由来の分解物のMSシグナル(m/z59)が検出されました。
一方、酸化性雰囲気では不活性雰囲気とその挙動が大きく変化し、300℃付近に大きな減量と発熱ピークが見られました。TDIとエーテル系ポリオール由来の分解ガスがこの温度域で両方発生しています。そして一部が燃焼し、CO2とH2Oになっています。また500℃付近で炭化した残渣が燃焼してCO2が発生しています。
また図1(b)に示しましたように各々の雰囲気で異なる形状や色の変化が見られました。
図1 ウレタンフォーム加熱時の(a)TG-MS測定結果と(b)試料観察像
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122/CおよびMASS-IF、GC/MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア