ポリアセタールの発生ガス分析
Application Note
B-TA2021
はじめに
ポリアセタール(POM)は機械的特性に優れた汎用エンプラの一つです。その耐久性の良さから金属部品の代替品として使用され、主な用途としてギアやベアリング等のパーツ類をはじめ、各種部品、文具類、また木管楽器や金管楽器にも使用される等、多岐にわたっています。
POMを加熱した際、どのようなガスが発生するかを確認する為に発生ガス分析を行いました。
測定・解析例
POMをThermo Mass PhotoにてEIで測定しました。He雰囲気で室温~500℃まで20℃/minで昇温しました。
図1にTG-DTA結果と主に検出したm/zのMSイオンサーモグラムを示します。
320~420℃にかけて2段階の減量がみられました。173℃で融解によるとみられる吸熱ピーク、378℃、403℃で分解による吸熱ピークがみられました。
主に検出したのはm/z29,30で、ホルムアルデヒドが発生ガスの主成分でした。POMはホルムアルデヒドのポリマーであり、分解してモノマーがガスとして発生していることが分かりました。
図1 TG-DTAおよびMSイオンサーモグラム(m/z29,30)
図2 ホルムアルデヒドのNISTライブラリスペクトル
図3 POMの構造式
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo Mass Photo、TG-DTA8122および1ch MS-IF、GC/MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア