アパタイトのTG-MS分析 その2

Application Note B-TA2020

はじめに

ハイドロキシアパタイトは歯や骨に含まれているリン酸カルシウムの一種で、高い生体親和性を示す材料として注目されています。またそのイオン交換性や吸着性などの機能を生かした製品開発も活発に行われています。ここでは様々な方法で作成されたハイドロキシアパタイトを加熱した際に発生したCO2をTG-MSにて定量しました。

測定・解析例

ハイドロキシアパタイト粉末試料(試料①、②、③)を10㎎、Pt容器に秤量し、He雰囲気で室温~1200℃まで20℃/minで昇温しました。またCO2定量用にシュウ酸カルシウム一水和物の脱炭酸を試料量を変化させて測定し、検量線を作成しました。なおMSのイオン化には電子イオン化(EI)を採用しました。

図1に試料①のTG及びCO2(m/z44、赤線)の温度変化を示しました。各減量に対応する温度範囲でのCO2のMSシグナルの面積強度を算出し、シュウ酸カルシウム一水和物の脱炭酸シグナルで作成した検量線を用いて定量したところ、温度範囲A:0.11%、B:0.77%、C:0.64%というように定量することができました。 

各試料のTG及びCO2(m/z44)の温度変化の比較を図2に示しました。また室温から1400℃の範囲での減量率とCO2発生量を表1にて示しました。TGではCO2を含めたすべての発生ガスに起因する減量の比較はできますが、CO2に限定した発生ガス量を比較するにはMSシグナルから定量する必要があります。

試料①のTG及びCO2由来のm/z44のピーク面積計算結果

1 試料①のTG及びCO2由来のm/z44のピーク面積計算結果

ハイドロキシアパタイト各試料のTG及びCO2発生挙動

2 ハイドロキシアパタイト各試料のTG及びCO2発生挙動

表1 ハイドロキシアパタイト各試料の室温から1200℃までの減量率とCO2発生量

  TG減量率/% CO2発生量(MS/%
試料① 3.40 1.52
試料② 8.95 1.71
試料③ 30.80 29.79

 

(試料提供 昭和大学富士吉田教育部 山本雅人先生)

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