TG-MSによるチタン酸バリウムからのCO2発生の定量
Application Note
B-TA2015
はじめに
代表的な誘電体材料であるチタン酸バリウムは積層セラミックコンデンサ等の様々な電子部品で利用されています。チタン酸バリウムの合成過程で炭酸塩が混入する場合があり、その炭酸塩の混入の程度を見積もるためにTG-MS測定によるCO2発生の定量を実施しました。
測定・解析例
チタン酸バリウム試薬を100㎎、Pt容器に秤量し、He雰囲気で室温~1100℃まで20℃/minで昇温しました。またCO2定量用にシュウ酸カルシウム一水和物の脱炭酸を試料量を変化させて測定し、検量線を作成しました。なおMSのイオン化には電子イオン化(EI)を採用しました。
図1にTG及びCO2(m/z44、黒線)及びH2O(m/z18、青線)のイオンクロマトグラムを示しました。500℃以下ではH2OとCO2が、500℃以上ではCO2が発生していることがわかりました。次に各減量に対応するCO2発生量の定量を試みました。シュウ酸カルシウム一水和物を加熱した際の脱炭酸時のシグナル強度を図2に、そこから作成した検量線を図3に示しました。検量線は非常に良い線形性があることがわかり、これを使用して、チタン酸バリウムからのCO2発生量を温度範囲①:0.01%、②:0.13%、③:0.01%というように定量することができました。
図1 チタン酸バリウムのTG及び発生ガスの温度プロファイル
図2 シュウ酸カルシウム一水和物、CO2発生の温度プロファイル
図3 CO2の検量線
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo Mass Photo、TG-DTA8122および1ch MS-IF、GC/MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア