TG-MSによるPC分解反応への水蒸気の影響
Application Note
B-TA2012
はじめに
ポリカーボネート(PC)は高い透明度、耐衝撃性等の特長があり、レンズ等様々な部材に利用されています。PCは加水分解によって劣化が進み,原材料のビスフェノールA(BPA)が生成することが知られています。そこでPCに対して水蒸気が存在する雰囲気でTG-MS測定を実施し、その影響を検証しました。
測定・解析例
PCフィルムを適当な大きさにカットしてPt容器に導入し、He雰囲気(Dry)もしくは25℃80%RHのHe雰囲気(Wet)で室温~800℃の範囲で20℃/minにて昇温しました。MSのイオン化には光イオン化(PI)を使用しました。
TG曲線からWetでは分解開始温度が低くなり、また残差も少なくなることがわかりました。一方で形状や色の変化はDry、Wetで大きな差は見られませんでした。MSにて発生ガス挙動を確認したところ、WetではDryと比べてBPA量が増加、p-クレゾール量が減少しており、水蒸気によって加水分解が促進されていることが示唆されました。
図1 Dry及びWetのTG及び発生ガス挙動(m/z228はBPA、m/z108はp-クレゾール)
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122および1ch MS-IF、GC/MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア