PEEKの試料観察TG-MS分析
Application Note
B-TA2011
はじめに
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)はスーパーエンジニアリングプラスチックの一つであり、樹脂の中でも非常に高い耐熱性、機械的強度を有しており、自動車のギアなど高い負荷がかかる部品、航空、宇宙分野での製品にも用いられています。ここではPEEKを加熱した際の分解挙動を試料観察TG-MSにて調べました。
測定・解析例
PEEK片をHe雰囲気で室温~800℃の範囲で20℃/minにて昇温しました。MSのイオン化には光イオン化(PI)を使用しました。PEEK分解時のTG、観察像、発生ガス温度プロファイルを図1に示します。500℃を超えたあたりから減量が始まり、800℃までに50%程度の減量が認められました。観察像では300℃まではほとんど変化がなく、330℃で融解して液体に変化し、500℃を超えて減量が進むに連れて炭化していく様子が確認できました。そして減量時にはフェノールをはじめとするPEEKの分解ガスが確認できました。今回使用したソフトイオン化の一つであるPIは分子イオンを検出しやすく、発生ガスの温度プロファイルの確認に適しています。
図1 PEEK分解時にTG曲線と試料観察像、発生ガスシグナル(PI)の温度プロファイル
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122/Cおよび1ch MS-IF、GC/MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア