リチウムイオン電池 正極活物質のTG-MS
Application Note
B-TA2009
はじめに
リチウムイオン電池は、ノートPCや携帯電話などのモバイル用途のバッテリーとして広く使用されており、自動車等への応用も進んでいます。電池を安全に動作させるためには、構成する部材の熱安定性を知ることが重要です。ここでは正極材料を加熱した際の分解挙動をTG-MSにて調べました。
測定・解析例
LiCoO2及びLiMn2O4の試薬をHe雰囲気で室温~1200℃まで20℃/minで昇温しました。MSのイオン化には電子イオン化(EI)を使用しました。
測定結果を図1に示します。LiCoO2は1000℃付近より減量が見られ、O2(m/z32)が発生していることがわかりました。また不純物に由来するCO2(m/z44)が500℃付近で発生しています。一方、LiMn2O4は800℃付近と1100℃付近の二段の減量があり、それぞれO2が発生しています。また不純物由来のSO2(m/z64)発生が1000℃付近に確認されました。
図1 (a) LiCoO2及び(b) LiMn2O4のTGとMSシグナルの温度プロファイル
※()内は各イオンのシグナル強度の拡大倍率
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo Mass Photo、TG-DTA8122および1ch MS-IF、GC/MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア