タバコのTG-MS その1
Application Note
B-TA2006
はじめに
タバコから発生する揮発成分や分解ガスは健康被害を考える上でその分析が強く要望されます。一方でタバコ製品化過程で生成するタバコ茎部分など大量の廃棄物をバイオマス資源として活用するにあたり、その熱分解過程を詳しく調べる必要があります。そこで試料観察TG-DTA/GC-MSを用いて、加熱した際のタバコ葉の形状・色変化と共に発生ガスを調べました。
測定・解析例
市販のタバコを5㎎用意し、He雰囲気で室温~600℃まで20℃/minで昇温しました。 MSのイオン化には電子イオン化(EI)と光イオン化(PI)を使用しました。測定結果を図1に示します。昇温に伴い、タバコの葉が褐色から黒色に変化し、収縮していく様子が見られました。300℃までの減量時の発生ガスに注目すると、まず100℃付近の減量時にはH2O(m/z18)の脱離が確認されました。200℃、300℃付近の減量時にはH2O、CO2(m/z44)に加えて複数の有機ガスが発生していますが、EIだけでは有機ガスの定性は困難でした。そこで分子イオンを確認しやすいPIを併用した結果、200℃付近ではニコチン(m/z162)や2,3-ジヒドロ-3,5ジヒドロキシ-6-メチル-4(H)-ピラン-4-オン(m/z144)が、300℃付近ではヒドロキノン(m/z110)が発生していることがわかりました。
図1 市販タバコのTG-DTAと各温度の観察像及びマススペクトル
推奨装置・推奨ソフトウェア
- 試料観察TG-DTA8122および1ch MS-IF、GCMS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア