石炭のTG-MS その1
Application Note
B-TA2004
はじめに
石炭の熱分解はコークス製造過程で必要不可欠なプロセスであり、またガス化や燃焼を調べる上でもその前駆的反応の熱分解の情報は有益です。今回はTG-DTA/GC-MSを用いて、分解時の石炭の重量変化と共に発生ガスを調べました。
測定・解析例
九州産の石炭を5㎎、Pt容器に秤量し、He雰囲気で室温~1000℃まで20℃/minで昇温しました。MSのイオン化には電子イオン化(EI、イオン化電圧17V)を使用しました。
測定結果を図1および2に示します。H2、H2O、H2、H2Oなどの無機ガスから高質量数の有機ガスまで様々なガスが発生していることがわかりました。図2のように脂肪族炭化水素系のガス(フラグメントイオン:m/z57,71,85)がフェノール類似のガス(分子イオン:m/z94,108,122)よりも低い温度で発生しています。
図1 石炭の発生ガス温度プロファイル(無機ガス)
図2 石炭の発生ガス温度プロファイル(有機ガス)
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122および1ch MS-IF、GCMS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア