熱分析によるグルースティックの測定

Application Note B-TA2002

はじめに

DIYや手芸で使用されるグルーガンは、スティック状の樹脂を熱で溶かし、それが冷えて再び固まることで接着できる道具です。このグルーガンで使用される接着剤はホットメルト接着剤で、グルースティックとも呼ばれます。

ここでは、グルースティックを試料観察TG-DTA/GCMSで測定し、溶ける温度や構成成分を調べました。

測定・解析例

市販のグルースティックを約0.7㎎採取し、He雰囲気で室温~500℃まで20℃/minで昇温しました。

TG-DTA結果を図1に示します。150℃付近から500℃にかけて3段階の減量がみられます。試料観察画像により70℃付近から試料が溶け始めていることがわかります。また、減量時の試料の流動的な変化も確認できます。

TG-DTA結果と試料観察画像

図1 TG-DTA結果と試料観察画像

GCMSの結果より、試料から発生したガスの3Dプロファイルを図2に、主に検出したイオンについてのMSイオンサーモグラムを図3に示します。300~500℃で発生しているガスはエチレン酢酸ビニル(EVA)の分解ガスであり、このグルースティックの主成分がEVAであることがわかります。また、150~300℃で発生しているガスは添加剤由来であると予想されます。

発生ガスの3Dプロファイル

図2 発生ガスの3Dプロファイル

主に生成したイオンのMSイオンサーモグラム

図3 主に生成したイオンのMSイオンサーモグラム

推奨装置・推奨ソフトウェア

  • 試料観察TG-DTA8122および1ch MS-IFGCMS
  • Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア

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