熱分析によるラッピングフィルムの測定
Application Note
B-TA2001
はじめに
家庭用電化製品のリモコンの汚れや水濡れを防ぐ為にラッピングフィルムが市販されています。使用する際にはリモコンをフィルムで包んだ後、ドライヤーの温風を当ててフィルムを収縮させ、リモコンにフィットさせます。
ここでは収縮する前のフィルムについて試料観察TG-DTA/GCMSで測定し、加熱した際の状態変化や構成成分を調べました。
測定・解析例
ラッピングフィルムを0.5㎎切り取り、He雰囲気で室温~600℃まで20℃/minで昇温しました。
TG-DTA結果を図1に示します。350℃付近から500℃にかけて1段階の減量がみられます。試料観察画像では60℃付近から試料が変形し始め、120℃付近にかけ急激に収縮します。その後も少しずつ収縮し、180℃付近からは試料が溶け始めていることが分かります。380℃付近からは試料の分解に伴う発泡も確認できます。
図1 TG-DTA結果と試料観察画像
GCMSの結果より、試料から発生したガスの3Dプロファイルを図2に、主に検出したイオンについてのMSイオンサーモグラムを図3に示します。350~500℃で発生しているガスはスチレンで、このラッピングフィルムの主成分がポリスチレンであることがわかります。
図2 発生ガスの3Dプロファイル
図3 主に生成したイオンのMSイオンサーモグラム
推奨装置・推奨ソフトウェア
- 試料観察TG-DTA8122および1ch MS-IF、GCMS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア