スクロース水溶液のガラス転移測定

Application Note B-TA1041

はじめに

食品や医薬品の保存に広く用いられる凍結乾燥では、その工程における温度条件の最適化にDSCが用いられています。一般に凍結乾燥条件においてはガラス転移温度や融解温度の情報が重要となります。本アプリケーションではスクロース水溶液についてDSC測定を行い、ガラス転移温度および融解温度の測定を行いました。

測定・解析例

スクロース水溶液(4%)のDSC測定結果を図1に示します。

試料容器はアルミシール容器を用い、試料量は5mgとしました。測定は5℃/minで-80℃まで降温し、その後5min間温度保持後、30℃まで5℃/minで昇温しました。

DSC測定結果において降温過程では水溶液の結晶化による発熱ピークが-20℃に見られます。昇温過程においては-1.7℃に融解による吸熱ピークが見られます。また昇温過程におけるDSC拡大プロット(図2)ではスクロースのガラス転移によるベースラインのシフトが-36℃に確認されます。

このようにDSCを用いることで水溶液の融解温度、溶質のガラス転移を測定し、これらの温度から凍結乾燥の温度条件を検討することが可能です。

ダイナミックDSC昇温過程

1. スクロース水溶液のDSC 測定結果
2. 昇温過程のDSC 拡大プロット

参考文献:   伊豆津健一,凍結溶液の熱測定と凍結乾燥製剤の製剤設計,熱測定36 (2) 112-120.

推奨装置・推奨ソフトウェア

  • DSCvesta(電気冷却)
  • Vullios(測定・解析ソフトウェア)

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