高密度ポリエチレンの酸化分解

Application Note B-TA1015

はじめに

熱分析結果から試料の反応温度や反応率を読み取ることで試料の熱物性を把握することができますが、試料の見た目の変化の情報は得られません。しかしながら、“反応することで試料の見た目はどのように変化するのか?”は場合によっては気になるところです。従来においても、測定後に取り出した試料を観察し、熱分析結果を把握するための情報として役立つ時があります。このような場合、試料観察熱分析を用いることで測定中の試料の色の変化や形状変化を視覚でとらえることができるようになり、反応と見た目の変化を関連づけて熱分析データを解釈することができます。今回は高密度ポリエチレン(HDPE)を空気雰囲気中で酸化分解させたときの色の変化や形状の変化を試料観察TG-DTAにて測定しました。

測定・解析例

図1にHDPEの試料観察TG-DTA測定結果を示します。

HDPEの試料観察TG-DTA測定結果

図1 HDPEの試料観察TG-DTA測定結果(昇温速度:10℃/min、試料量:4mg、air雰囲気)

123℃付近に融解による吸熱ピークがみられます。260℃付近から酸化分解による段階的な減量と、それに対応した発熱ピークがDTAにみられます.また、240℃付近には表面酸化による増量も確認できます。そして、600℃まで昇温をすると全量が分解しています。なお、試料観察熱分析では熱分析データ上に任意の点での画像を併せて表示が可能です。

次に試料観察TG-DTA測定における測定開始時、ピークトップ温度及び600℃での試料観察画像を図2に示します。

試料観察画像

図2. 試料観察画像

試料観察画像を見ることで、融解による形状変化の様子や、分解時の変色及び炭化する様子、炭化物が燃焼して無くなる様子などをデータと併せて確認することができます。なお、試料観察熱分析測定結果における試料画像は熱分析データとリンクした動画として確認することもできます。

 

推奨装置・推奨ソフトウェア

  • Thermo plus EVO2TG-DTA8122
  • 試料観察ユニット

お問合せ

製品選びから据付後の技術サービスまで、何でもお気軽にお問合せください。