消せるボールペンのDSC測定
Application Note
B-TA1007
はじめに
消せるボールペンは書いた文字を専用のゴムで擦ることにより消すことが出来ます。これは摩擦で生じた熱でインクの色が無色透明になるという性質を利用しています。
このボールペンで書いた文字を試料観察DSCで測定し、温度によってインクの色がどのように変化するかを調べました。
測定・解析例
消せるボールペンで文字を書いた紙を試料容器に入れ、N2雰囲気で80℃まで10℃/minで昇温した後、-50℃まで降温しました。
試料観察DSC結果を図1に示します。試料観察画像により30℃では明瞭だったインクの色が50℃を超えたあたりから徐々に薄くなり、60℃でインクの色が完全に消失していることが分かります。また、60℃付近では吸熱ピークがみられました。
80℃まで昇温した後、降温過程においては室温付近(30℃)でもインクの色は焼失したままでした。
さらに降温して-20℃を超えたあたりでインクの色が徐々に復活してきて-40℃ではほぼ元通りのインクの色が観察できました。-40℃付近では発熱ピークがみられました。
このように、消せるボールペンのインクの色は温度によって消えたり復活したりすることが確認できました。
図1 DSC結果と試料観察画像
推奨装置・推奨ソフトウェア
- 試料観察DSCvesta
- Thermo plus EVO2ソフトウェア