TG-DTAによるマイクロプラスチック(MP)の評価
はじめに
マイクロプラスチック(MP)は、環境中に流出してしまった5mm以下の使用済プラスチック粒子と定義されており、土壌、海や河川に汚染物質として存在しています (1)。海のMPのほとんどは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ナイロンなどです (2)。近年までに、MPに関する研究は増加しており、TG-DTAを測定することで各種プラスチックの融点の違いからMPを判別することが可能です。
測定・解析例
2mm~5mm未満の小さな断片にカットされた樹脂(HDPE、PP、ナイロン6、PET)を混合したサンプル(Mixed polymer)及び、HDPE、PP、ナイロン6、PETを単体で測定したTG-DTA測定結果の比較を下図に示します。測定は試料量2~10mg、窒素雰囲気下で10℃/minの昇温速度で300℃まで昇温しました。測定結果に示される様に混合サンプルでは、126℃、164℃、221℃、251℃に融解による吸熱ピークが見られ、これらの吸熱ピークは、各種プラスチックの融解挙動に対応しています。このように融解ピークが異なる温度で個別に観察できるプラスチックであればDSCにてその融解温度からMPを特定することが可能です。
図. 混合ポリマー及び標準ポリマーのTG-DTA測定結果.
参照文献
(1): M. Majewsky, H. Bitter, E. Eiche and H. Horn. Science of Total Environment 568 (2016) 507-511
(2): J. Yu, et. al.,. Marine Pollution Bulletin 145 (2019) 153-160
測定装置と解析ソフト
Thermo plus EVO2 TG-DTA 8122
Thermo plus EVO2 Software