TMA によるコーティング材の軟化測定
Application Note
B-TA1004
はじめに
TMAは検出棒を変更することで膨張や軟化などを測定することができる装置です。また、TMAには全膨張方式と示差膨張方式の2種類があります。全膨張方式でコーティングしてあるサンプルを測定すると、主材料とコーティング剤の変化が結果になるため、別途主材料だけの測定が必要です。
測定・解析例
示差ペネトレーションを用いて測定を行います。主材料であるスチールを基準試料として、リファレンス側にセットし、コーティング材が塗布されたスチールをサンプル側にセットします。図1.にスチール缶に塗布されたコーティング材の示差ペネトレーション測定の結果を示します。主に低温側と高温側の2か所で収縮が見られます。材料は主にスチールでできているため、熱挙動としては膨張がみられますが、測定結果には収縮がみられます。測定試料の変化量は、主材料であるスチールの膨張とコーティング材の変化で構成されますので、主材料であるスチールを基準試料にして測定し、測定試料から基準試料の膨張をキャンセルしています。そのため、測定結果の収縮は、スチールの一部にコーティングされているコーティング材の軟化によるものと考えられます。このように、コーティング材を塗布されたスチール缶から基準試料であるスチールの膨張をキャンセルできるため、示差ペネトレーション法を使用してコーティングされた材料を評価できます。
図1. スチール缶に塗布されたコーティング材の示差ペネトレーション測定結果
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo plus EVO2 TMA8311
- Thermo plus EVO2ソフトウェア