波長分散型蛍光X 線分析装置ZSX Primus IVi 紙製品の全フッ素スクリーニング分析
はじめに
PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物) 関連規制は拡張傾向にあります。
今後製品、材料の流通やリサイクルの 過程においてPFAS不使用の証明などが求められる可能性があります。
蛍光X線分析法は、試料を分解や抽出することなくそのまま測定できると いう特長から装置準備、試料処理含めた総分析時間の短縮が期待できます。今回、波長分散型蛍光X線分析装置ZSX Primius IViを用いた紙製食 品接触材料の全フッ素分析によるフッ素化合物の使用有無を判別するス クリーニング分析例を紹介します。
測定・解析例
市販の紙製食品接触材料26点(食品容器:9点、紙皿:8点、耐油紙:9点) は、それぞれ切断後、試料ホルダーに置き、ポリプロピレン製中空カップを 上から被せました(図1)。定量分析手法はファンダメンタルパラメータ―法 (FP法)を選択し、FP感度校正には市販のPTFE樹脂1点を使用しました。 測定時間は2分としました。他の測定条件を表1にまとめます。
各試料両面(a面、b面)の定量分析結果を図2に示します。26点中18点の 試料(紙製容器5点、紙皿4点、耐油紙9点)からフッ素が明確に検出され ました。一方で、残りの8点は検出下限(110 mg/kg※)以下でした。フッ素 の検出非検出がはっきりしていることから、フッ素が検出された18点の試 料は意図的にフッ素化合物が使用された製品である可能性が高いことが 示唆されます。以上のように、ZSX Primus IViを用いることで、短時間で紙 製品に含有するフッ素化合物使用のスクリーニング分析が可能です。 ※ 試料#01-1aの分析値、測定強度、測定時間から算出しました。
図1 試料及び試料ホルダー
表1 測定条件
図2 定量分析結果
エラーバーはX 線計測における統計変動の±3σ で表記しました。
推奨装置とソフトウェア
