医薬品中のパラジウム触媒残渣分析
目的
医薬品材料中のパラジウム(Pd)の微量分析
背景
パラジウム(Pd)は医薬品の製造において重要な触媒の一つです。製造された錠剤は品質管理プロセスにおいてPd残渣だけでなく、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、臭素(Br)などの微量の重金属の分析を行います。リガクのエネルギー分散型蛍光X線分析装置NEX DEはこれらの微量重元素分析に優れた装置です。
エネルギー分散型蛍光X線分析装置NEX DE
ファンダメンタル・パラメータ(FP法)のよるスタンダードレス分析
リガクが開発したFP法のRPF-SQX(Rigaku Profile Fitting – Spectra Quant X)は、スペクトルプロファイルフィッティングと理論強度を使用して、標準試料を用いずに分析結果を得ることができます。このようなスタンダードレス分析は標準試料が用意できない研究開発品の分析に最適です。また、マッチングライブラリを用いることにより、標準試料の感度を登録することでき、分析精度を向上させることができます。
マッチングライブラリ
NEX DEのソフトウェア QuantEZでは、定量結果の正確さを向上させるマッチングライブラリを搭載しています。マッチングライブラリは、ICP、ICP-massで分析された元素濃度が既知の1つ以上の標準試料を使用します。標準試料による感度を用いることにより、ファンダメンタルパラメータ(FP)法でICP、ICP-massと同等の定量結果が得られます。
実際にICPで測定された試料を用いてマッチング・ライブラリを作成し、分析を行いました。
分析結果
分析結果を以下に示します。Pdは公表値と同等の結果が得られています。
Sample ID: Unknown Sample | Units: ppm | ||
Component | Assay value | NEX DE value | Stat. error |
Pd | 45 | 48 | 0.8 |
Si | -- | (13) | 2.8 |
P | -- | ND | 1.8 |
Cl | -- | 303 | 1.2 |
Fe | -- | (2.0) | 0.5 |
Br | -- | 3.5 | 0.1 |
考察
NEX DE の分析径10 mm が標準となります。NEX DE のオプションでは、微量および超微量レベル以上のPdの測定用に、3 mm径または1 mm径の小径スポットを装備しています。
同じマトリックスをもつ試料を使用することで分析精度は向上します。特に低濃度や微量レベルでのPd測定の精度を最も高くするためには、FP法を使用する代わりに同じマトリックスの標準試料を用いた検量線法も推奨されます。測定対象のPd濃度範囲で5水準以上の正確かつ精密な標準試料を使用して検量線を作成することで、正確な定量分析ができます。
まとめ
触媒残渣のPdの分析においてNEX DEは優れた感度と精度を示すことがわかりました。Pdだけでなく、他の元素も同じように分析ができます。
リガクのソフトウェアは、1つまたは複数の標準試料を使用して感度を最適化するマッチングライブラリで正確なFP分析ができ、また、標準試料を使用しなくても優れたスクリーニング分析を可能にします。NEX DEのオプションの小径分析機能とユーザーフレンドリーなソフトウェアの組み合わせにより、NEX DEは品質試験所、研究開発から管理分析のための優れた元素分析ツールとなっています。
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