2次元検出器を用いたリチウムイオン電池正極材のオペランド測定
Application Note
B-XRD1106
はじめに
リチウムイオン2次電池は、携帯電話を始めとする小型携帯機器に幅広く用いられているほか、自動車や大型機械への適用を目指して研究・開発が進められています。高容量、高安定性、長寿命なリチウムイオン2次電池を開発する上で、充放電過程における正極材の安定性評価は不可欠です。充放電環境を再現するアタッチメントと高速露光測定を行える2次元検出器を使用したオペランドX線回折測定は、電池使用環境下での結晶相変化の詳細な観察を可能にし、製品性能や寿命劣化などのメカニズムの解明に役立ちます。
測定・解析例
全自動多目的X線回折装置SmartLabに、電池セルアタッチメントとハイブリッド型多次元ピクセル検出器HyPix-3000とを組み合わせて、高速充放電中の正極材のX線回折測定を行いました。電池セルアタッチメントの外観と断面構造を図1に示します。正極材にはLiMn1.5Ni0.5O4を用い、充放電レート1C = 132 mAh/g で充放電しながら、露光時間15秒の露光測定を繰り返し行い、X線回折プロファイルの時間変化を調べました。
図2に、測定プロファイルの重ね書き、プロファイルマップ、および電圧グラフを示します。充放電に伴って2段階の2相共存反応が起こり、充放電後は測定開始前の結晶相に戻ることが確認されました。
図1 電池セルアタッチメントの外観と構造
図2 測定プロファイルの重ね書き、プロファイルマップ、および電圧グラフ
推奨装置
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLabSE + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-400
- 電池セルアタッチメント