LLDPEの結晶化
アプリケーションノート
B-TA1048
はじめに
ポリマーの結晶形は融解後の冷却速度に依存して変化し、冷却条件により異なる融解ピークを示すことがあります。LLDPE(直鎖上低密度ポリエチレン)を、5℃/min、2℃/min、Step cooling 3種類の冷却条件で結晶化させ、昇温過程での融解ピークを比較しました。
*Step cooling: 123℃, 93℃, 63℃ 各10min. HOLD
測定・解析例
図1はLLDPEのDSC測定結果です。Heating過程では40℃~130℃に融解による吸熱ピーク、cooling過程では結晶化による発熱ピークが見られます。

図 1 heating/cooling測定
図2は、各冷却条件で冷却後のサンプルのheating過程での融解ピークの多重プロットです。

図 2 各冷却条件での結晶化サンプルの融解
5℃/min、2℃/minの冷却条件では、類似の融解ピークを示しており類似の結晶形となったことが考えられます。 また、初期状態(original)の融解ピークと比較すると明確な違いが見られ、originalサンプルの製造過程での冷却条件とは異なることが推定されます。 Step cooling(123℃, 93℃, 63℃ 各10min. HOLD)の融解ピークは、originalの融解ピークとやや似た形状が認められ、originalサンプルの製造過程での冷却条件と比較的近い条件であったことが推測されます。 このように、融解ピークは製造過程での冷却条件による結晶化が反映されたものとなり、融解ピークを比較することにより、製造過程での冷却条件の違い(熱履歴)を判断することが可能となります。
推奨装置・ソフトウェア
- Thermo plus EVO3 DSCvesta2+電気冷却ユニット
- Vullios(測定・解析ソフトウェア)
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