熱分析豆知識
第10回 セラミックスの焼成過程における熱分析の活用(2)
熱分析測定では脱バインダー過程や焼結過程の温度域や変化量を調べることができますが、速度制御熱分析(ダイナミックTGやダイナミックTMA)を用いることでさらに高度な焼成条件を検討することができます。
速度制御熱分析とは、TGの減量速度またはTMAの収縮速度をパラメータとして温度制御を行う手法で、一定の反応速度になるように温度制御を行いながら測定ができます。脱バインダー過程において焼成温度はバインダーの分解速度に影響を与えます。焼成温度が高い(=反応速度が速い)と焼成時間は短くなりますが、急激なガスの発生はクラックやめくれを起こす原因となります。このため、ダイナミックTG測定を行うことで急激なガスの発生を抑えながら脱バインダーを進行させるための温度条件を調べることができます。また、ダイナミックTMAでは任意の収縮(焼結)速度で焼結させた焼結体を作成することができます。焼結体の物性は焼結速度によって緻密度などに影響を及ぼす場合もあるため、焼結速度の異なる焼結体の物性を比較することで目的の物性を持つ焼結体を得る条件だしに有効です。
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