熱分析豆知識

 

第17回 結晶化度の計算(3)

結晶化度の計算について、融解エネルギーから計算する方法を第15回で、ガラス転移のシフト幅から計算する方法を第16回でお話ししました。

「100%結晶質、100%非晶質の状態の試料を作製できるかどうか?」といった試料の性質について以外にも例えば、融解エネルギーの文献値は見つけられるかもしれませんので、その値を利用できる可能性はありますが、ガラス転移による比熱容量の変化量の文献値を見つけることはなかなか困難です。また、融解エネルギーから結晶化度を算出する場合は結晶多形も考慮しないといけないケースがありますが、非晶質から算出する場合、結晶多形は気にしなくても大丈夫です。その他、DSC測定では融解ピークからの計算、ガラス転移からの計算ともに、昇降温連続測定による降温結果や2回目の昇温結果、急冷(クエンチ)による2回目の昇温結果などを利用して比較することも有効な手段となります。

結晶化度の算出はDSCだけではなくXRDでも行われるため、分析手法による特長やメリット、デメリットを検討し多角的に判断することが重要となります。

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