炭素材料の表面官能基

アプリケーションノート B-TA2040

はじめに

リチウムイオン電池の負極材料をはじめとして様々な分野で炭素材料は利用されています。炭素材料粉末には表面官能基が存在し、それがガス、液体の吸着特性に大きな影響を与えるほか、電極や触媒としての性能も左右します。この表面官能基を評価する方法はいくつか提案されていますが、ここではTG-MSを用いた発生ガス分析による評価方法を紹介します。

測定・解析例

図1にカーボンブラックを不活性のHe雰囲気にて加熱した際のTG-MS測定を示しました。炭素材料の表面にはカルボキシル、フェノール、カルボニル、ラクトン基などが存在しており、TG-MS測定ではこれらの官能基の熱脱離によって発生するCOやCO2の挙動から、官能基について推測することができます。[1,2] 図1の発生ガスの温度プロファイル(MSイオンサーモグラム)では、400~900℃においてCOが確認されました。カーボンブラック表面にフェノール、カルボニル基が存在していると思われます。また100~700℃において確認されたCO2からカルボキシル基が存在していることが示唆されます。さらにNOやSO2のシグナルも検出されており、カーボンブラック中に窒素、硫黄分も残存していることが確認されました。

カーボンブラックのTG-MS

図1 カーボンブラックのTG-MS

参考文献:[1] 小田廣和, 炭素, 235 (2008) 296-306. [2] 高木英行, 炭素, 237 (2009) 67-71 .

推奨装置・推奨ソフトウェア

  • Thermo Mass PhotoTG-DTA8122およびMASS-IFGC/MS
  • Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア

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