TMAによる食品包装用ラップフィルムの測定

アプリケーションノート B-TA1069

はじめに

食品包装用ラップフィルムは、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の熱可塑性ポリマーを押し出し成型によりシート状にした後、一方向または2方向に延伸することにより製造されています。市販の食品包装用ラップフィルムについて、TMA引張荷重法を使用して一定荷重下で昇温し、フィルムの引き出し方向およびその直交方向について膨張・収縮を測定し、比較しました。

測定・解析例

測定は食品包装用ラップフィルム(PE/PP製、PVDC製)2種を、フィルムの引き出し方向と引き出し方向の直交方向からサンプル幅5mm、長さ14mmのサイズに切り出し、チャック金具で長さ10mmに固定し、引張荷重20mN、昇温速度5 C°/minの条件で行いました。

B-TA1069_TMA measurement results 図 1 TMA測定結果

25℃を基準としたそれぞれの温度における膨張率を下表に示します。

Temperature C° Expansion %
PE/PP PVDC
引き出し方向 直交方向 引き出し方向 直交方向
40.0 0.25 0.39 0.07 0.12
50.0 0.48 0.94 0.09 0.21
60.0 0.67 1.84 -0.07 0.29
70.0 0.84 2.97 -1.31 0.08
80.0 1.16 4.12 -4.46 -1.33
90.0 1.70 5.47 -7.62 -3.54
100.0 2.43 7.61 -10.75 -6.13
110.0 4.03 12.34 -14.15 -9.15
120.0 12.92 19.35 -17.96 -12.65

PE/PP複合フィルムでは、引き出し方向が直行方向に比べ膨張率が小さく、引き出し方向に延伸されていることが推測され、引き出し方向がMD、直行方向がTDと考えられます。PVDCフィルムでは、引き出し方向、直行方向とも収縮が現れており両方向に延伸された結果を示していると考えられますが、引き出し方向が直行方向に比べて収縮率が大きく(膨張率が小さく)、延伸に方向性があることが推測されます。

このように、方向を変えて切り出したフィルムサンプルについて膨張・収縮を測定することにより、フィルムの延伸や方向性についての情報が得られることが期待されます。

お問い合わせ

製品選びから据付後の技術サービスまで、何でもお気軽にお問い合わせください。