付箋紙の熱伝導率測定

アプリケーションノート B-TA4022

はじめに

多孔質構造を持つことが紙の最大の特性、特徴であり、これは金属、陶磁器、ガラス、プラスチックフィルムなどの素材にない性質で、このことが水を使い、油性のインキで紙に印刷ができ、しかもインキが取れないように定着する理由である。

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付箋紙には、通常の紙に対してコート剤が塗布されている。このコート剤は非常に薄く球状の微小な粒子でできており、紙の繊維と異なる化学物質であるため、紙単体と比較すると熱伝導率の性質も異なる可能性がある。付箋紙の熱伝導率は、構成材料からは、約0.13〜0.25 W/m·Kの範囲にあると考えられ、これは断熱材として使われる素材と同程度で、熱を通しにくい性質を持っている。 本アプリケーションでは、TRIDENT/TPS Flexセンサーの薄膜ユーティリティを用い、付箋紙の熱伝導率を評価した。

測定・解析例

  • 測定試料: 市販の付箋紙(87μm)
  • 使用装置: 熱伝導率測定装置 TRIDENT/TPS Flexセンサー(薄膜ユーティリティ)
  • 測定される熱伝導率: through-plane

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  • サンプルの準備: 付箋紙サンプルを4枚(積層する枚数に依存)用意する。TPS Flexセンサーの両外面に1枚づつサンプルを配置(サンプルスタック)、さらにステンレス標準試料(Conductive backing)をその両面に設置する。その後、専用クランプ治具でサンプルスタックをセットし、しっかりと押し付けて保持、センサーとサンプルの密着性を良好にする。

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各サンプルとも200℃付近から600℃にかけて4段階の減量が現れています。特に、300℃~400℃の減量率と発熱ピークにサンプル間の違いが見られ、ホールド時間が長いほど減量率が小さく、発熱ピークも小さくなっています。

 

熱伝導率 λ W/mK

 材質の種類   付箋紙 
 膜厚(μm)  87 
 TPS Flexセンサー(薄膜ユーティリティ)   0.1557 

87μmの厚みをもつ付箋紙サンプルに対しても、TPS Flexセンサー(薄膜ユーティリティ)を用いることで、良好な熱伝導率値を簡便に評価できた。

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