高熱伝導性スラブサンプルの測定
アプリケーションノート
B-TA4017
はじめに
金属やセラミックスに代表されるように、耐蝕性と耐熱性に優れ、熱伝導率も適度に高い素材は、加熱や冷却が必 要な工程など多用途で活躍している。例えば、キッチンの調理器具や工業用の部品、さらにはコンピューターの冷却 システムなどでは、熱を均一に分散させる能力が高くなることで、製品性能の向上が期待できる高熱伝導性の素材 が選ばれている。熱伝導率の測定法は様々提案されているが、サンプル素材の形状と熱伝導性により適正な測定 方法が求められるため、色々なサンプル形状に対応できる測定法は限られている。TRIDENT/MTPSセンサーは、 バルク固体のみならず、液体、粉体、繊維、ペースト状など様々なサンプル形態の測定に対応可能な優れた熱伝導 率測定法であるが、熱伝導率値に依存したある程度の熱浸透距離(サンプルの厚み)が要求される。 TRIDENT/Flex-TPSセンサーを用いたスラブユーティリティは、高熱伝導性スラブ(薄板)材料の測定に適した手法 である。代表的なスラブ状の金属とセラミックスの熱伝導率を測定し、バルク材との値と比較した。
測定・解析例
- 測定試料:SUS304(300μm)、銅(500μm)、96%アルミナ(1mm)、アルミニウム(2mm) ※それぞれ2個準備
- 使用装置:熱伝導率測定装置 TRIDENT/Flex-TPSセンサー(スラブユーティリティ)

サンプルスタック

スラブサンプルのセットアップ状態
- サンプルの準備:スラブ状のサンプルをそれぞれ2個用意する。Flex-TPSセンサーをサンプル間に挟み、さらにサ ンプル両外面に断熱材を配置(サンプルスタック)する。その後、専用クランプ治具でサンプルスタ ックをセットし、しっかりと押し付けて保持、センサーとサンプルの密着性を良好にする。
熱伝導率 λ W/mK スラブサンプル |
||||
種類 | SUS304 | Cu | 96%Al2O3 | AL |
厚み(mm) | 0.3 | 0.5 | 1 | 2 |
Flex-TPS | 15.9 | 393 | 23.3 | 229.6 |
バルク材※ | 16.3 (1) | 398 (2) | 23 (3) | 237 (2) |
※出展:(1)ステンレス協会、(2)機械工学便覧、(3)ニッコー株式会社
0.3~2mmの厚みをもつスラブ形状サンプルに対しても、Flex-TPSセンサー(スラブユーティリティ)を用いることで良
好な値が得られ、サンプルの厚みに製作制限のある高熱伝導率の素材の熱伝導率を簡便に評価できた。
推奨装置・推奨ソフトウェア
関連製品
