電線被覆材ポリマーの熱履歴

アプリケーションノート B-TA1070

はじめに

電線の被覆は、銅などの芯線に溶融・混錬したポリマーを押出機により絶縁被覆を施し、さらに外装被覆を行うことで製造され、ケーブルとして使用されています。被覆工程における熱的な処理により熱履歴が生じている可能性があります。そこでDSCおよびTMA圧縮荷重法を用いて外装被覆の熱履歴を測定しました。

測定・解析例

DSC測定では、ケーブルの外装被覆部のフラットな部分を2mm角程度(約12mg)に切り出し、Al製容器に入れて昇温速度10℃/minで行いました。TMA測定では、同様に外装被覆部のフラットな部分を長さ方向10mmに切り出し、荷重20mN、昇温速度5℃/minで測定しました。いずれも1st.heatingおよび2nd.heating(再昇温)を行いました。

B-TA1070_Figure1 DSC and TMA measurement results 図 1 DSC, TMA 測定結果

DSC測定結果では、1st.heatingで60℃~80℃付近にブロードな吸熱ピークが見られますが、2nd.heatingではこのピークは消失しています。TMA測定結果においても、1st.heatingで60℃~80℃付近に収縮挙動が現れており、その後も収縮挙動が続いていますが、2nd.heatingでは収縮は見られず昇温に伴う一様な熱膨張を示しています。

この結果からは、1st.heatingで60℃~80℃付近に現れたDSCの吸熱ピークやTMAの収縮は、不可逆的な変化であり、製造時にこの温度域で熱的処理を受けたことによるものと推測されます。

このように、1st.heatingの結果と2nd.heating(再昇温)の結果を比較することにより、熱履歴の有無や熱履歴を受けた温度域に関する情報が得られることが期待されます。

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