アプリケーションノート B-TA1067
はじめに
人間の毛髪は、湿度変化により膨張・収縮することが知られています。TMA引張荷重法を使用して、一定荷重下で相対湿度を段階的に変化させた場合の膨張について検討しました。
測定・解析例
測定は毛髪サンプル(長さ15mm)を、チャック金具で固定し、荷重20mN、相対湿度(24℃)Dryで60min保持後、相対湿度を20%、40%、60%、80%に変化させ、90min間保持した場合の膨張量を測定しました。
図 1 TMA測定結果
装置設置環境の相対湿度が40%RHであったため、サンプルセット後Dry雰囲気下では収縮(-0.03%)が見られました。Dry雰囲気の膨張率(-0.031%)を基準として計算した各相対湿度における膨張率および各相対湿度間の膨張率の差を下表に示します。
| ΔL | 各相対湿度間の差 | |
| 20%RH | 0.72 % (0.691 - (-0.031)) | 0.72 % |
| 40%RH | 1.13 % (1.096 - (-0.031)) | 0.41 % (1.096 - 0.691) |
| 60%RH | 1.41 % (1.376 - (-0.031)) | 0.28 % (1.376 - 1.096) |
| 80%RH | 1.48 % (1.449 - (-0.031)) | 0.07 % (1.449 - 1.376) |
相対湿度の上昇に伴い膨張率は大きくなっていますが、相対湿度の変化に対する膨張率の変化は、Dry~20%RHの範囲が最も大きく、以降の相対湿度範囲では小さくなる傾向が認められます。このことから、毛髪の膨張は相対湿度が低い範囲の変化により大きく影響を受けることが推測されます。