アプリケーションノート B-TA1066
はじめに
人間の毛髪は、湿度変化により膨張・収縮することが知られています。TMA引張荷重法を使用して、一定の相対湿度雰囲気下で荷重を段階的に大きくした場合の膨張について比較しました。
測定・解析例
測定は毛髪サンプル(長さ15mm)を使用しました。チャック金具で固定し、相対湿度(24℃) 20%、40%、60%、80%の各雰囲気下で、初期荷重20mNから、40mN、60mN、80mNと段階的に変化させ10min間保持した場合の膨張量を測定しました。
図 1 TMA測定結果
各湿度雰囲気下で荷重20mNを基準としたそれぞれの荷重における膨張率を下表に示します。
| 40mN | 60mN | 80mN | |
| 20%RH | 0.12 % | 0.23 % | 0.34 % |
| 40%RH | 0.12 % | 0.23 % | 0.35 % |
| 60%RH | 0.18 % | 0.35 % | 0.53 % |
| 80%RH | 0.21 % | 0.43 % | 0.65 % |
いずれの測定結果でも荷重が大きくなると膨張率が大きくなる傾向は同一ですが、相対湿度20%、40%の場合は、各荷重変化に対する膨張率はほぼ同一の結果となっており、この範囲では湿度依存性は低いことがわかります。相対湿度60%および80%の結果を比較すると、荷重変化に応じて膨張率が異なっており、湿度依存性が認められます。
このように、TMAに水蒸気発生装置を組み合わせたシステムでさらに荷重制御を行うことにより、膨張に対する湿度および荷重依存性の評価に利用できることが期待されます。