アプリケーションノート B-TA1064
はじめに
相対湿度雰囲気下でサンプルの重量変化を測定可能なTG-DTA/HUMを使用して、各種紙の湿度変化に伴う重量変化を測定し、比較しました。
測定・解析例
測定は、サンプル(コピー用紙、防水スプレーを塗布したコピー用紙、薬包紙、メモパッド用紙、産業用ワイパー紙)各10mgを、Al製開放容器に入れ、25°C HOLD、N₂雰囲気下において、相対湿度20%、40%、60%、80%で一定時間保持し、重量変化を測定しました。
図 1 HUM-TG測定結果
測定開始の雰囲気の相対湿度は約50%RHであったため、20%RHに保持した場合には乾燥による減量が確認されました。その後、相対湿度が高くなるにつれて吸湿に伴い、重量が増加しました。下表に各相対湿度における重量変化率を示します。
20%RH | 40%RH | 60%RH | 80%RH | |
産業用紙ワイパー | -1.43% | 1.81% | 2.53% | 3.38% |
コート紙 | -0.97% | 1.47% | 1.73% | 1.98% |
メモパッド用紙 | -2.26% | 1.71% | 2.25% | 2.76% |
薬包紙 | -2.69% | 1.64% | 2.00% | 3.02% |
コピー用紙 | -2.91% | 1.28% | 1.91% | 3.44% |
コピー用紙/防水スプレー | -3.79% | 1.35% | 2.00% | 2.87% |
40%RH保持では産業用紙ワイパー、メモパッド用紙、薬包紙の増量が大きく、60%RH保持でも同様な傾向が見られます。80%RHでは、産業用紙ワイパー、コピー用紙、薬包紙の増量が顕著でした。一方、印刷用紙であるコート紙は重量変化が小さく、これは表面の塗装膜による影響と考えられます。コピー用紙と防水スプレーを塗布したコピー用紙を比較すると、80%RHの保持の条件では防水スプレーを塗布したものの方が増量が小さく、防水スプレーの効果が認められます。