高分解能3DX線顕微鏡を用いたCFRP積層板の空隙観察と曲げ強度への影響の評価

アプリケーションノート B-XRI1036

はじめに

高い強度と耐久性を有するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、航空宇宙や自動車の分野で広く利用されています。しかし、積層構造を持つCFRPでは成形工程で空隙(ボイド)や層間剥離が発生することがあり、これらが強度低下の原因になります。従来の外観検査や断面観察では、これらの内部欠陥を非破壊で3次元的に評価することは困難でした。本稿では、高分解能3DX線顕微鏡 によりCFRP内部の空隙を非破壊で観察および定量評価しました。さらにASTM D7264準拠の3点曲げ試験による強度評価を行い、空隙と曲げ強度の相関を示しました。

測定・解析例

試料はオートクレーブ法を用いて異なる圧力条件で成形した2種類のCFRPです。一方は加圧条件(CFRP①)、もう一方は無圧条件(CFRP②)で成形し、成形後に長さ100 mm、幅13 mm、厚み2 mmの試験片を作製しました。

高分解能X線顕微鏡 で1.43 µm/voxelの撮影を行い、結果を図1に示しました。無圧条件で成形したCFRP②の層間に多数の空隙を確認しました。

B-XRI1036_Figure1_Cross-sectional image (Left-CFRP1-Right-CFRP2) 図1 : 断層画像(左:CFRP①、右:CFRP②)

各試料の空隙のみを抽出し、サイズ別に色分けした画像を図2に示しました。青色の着色部位は空隙が小さく、赤色の着色部位は空隙が大きいことを表しています。加圧条件で成形したCFRP①の空隙率は0.04 vol%、無圧条件で成形したCFRP②は2.82 vol%でした。

B-XRI1036_Figure2_Void size analysis results (Left-CFRP1-Right-CFRP2) 図2 : 空隙サイズの解析結果(左:CFRP①、右:CFRP②)

続いて、ASTM D7264に準拠した3点曲げ試験を行いました。CFRP①が925 MPaの曲げ強度を示したのに対しCFRP②は784 MPaであり、CFRP②の曲げ強度は約15%低下しました。試料内部の空隙の量が曲げ強度の低下に影響したと考えられます。

表1 各試料の曲げ強度と空隙率

  CFRP① CFRP②
成形条件 温度 137 ℃ 137 ℃
圧力 0.35 MPa 無圧(真空圧のみ)
空隙率 0.04 vol% 2.82 vol%
曲げ強度 925 MPa 784 MPa

3点曲げ試験後にクラックの発生箇所を撮影したところ、いずれの試料においても層間剥離が確認されました(図3)。クラックが空隙を経由して層間方向へ進展したと考えられます。

B-XRI1036_Figure3_Cross-sectional image after bending test (Left-CFRP1-Right-CFRP2) 図3 : 曲げ試験後の断層画像(左:CFRP①、右:CFRP②)

成形条件を最適化するためには、内部欠陥の非破壊評価が欠かせません。このような評価手法は、材料設計や品質管理の有効な指標としての活用が期待されます。

推奨装置・ソフトウェア

  • 推奨装置:高分解能3D X線顕微鏡 nano3DX
  • 解析ソフト:VGSTUDIO MAX(欠陥介在物解析モジュール)
  • 試料提供:株式会社キグチテクニクス 様
    VGSTUDIO MAXはHexagon Manufacturing Intelligence株式会社の製品です。

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