マイクロX線CTを用いた軟膏チューブ内の結晶のサイズ分布解析

アプリケーションノート B-XRI1027

はじめに

固体分散型の軟膏は、軟膏内に薬剤の結晶が分散していることを特徴としています。一般的に、軟膏内の結晶は光学顕微鏡で観察されますが、保存容器内の結晶の分布は把握できません。マイクロX線CTを用いると、X線の透過力を利用して容器内部を拡大観察できます。ここではアルミラミネートチューブに充填された固体分散型の軟膏をCT撮影し、結晶粒子のサイズ分布を調べました。

測定・解析例

軟膏チューブを印加電圧100 kV、画素サイズ28 μm/voxelでCT撮影しました。図1には軟膏チューブの断層画像(拡大図)を示します。球状の結晶粒子が確認され、一部は中空構造であることがわかります。

B-XRI1027_fig1_ Tomographic image of an ointment tube

図1:軟膏チューブの断層画像

得られたCTボリュームデータをセグメンテーションし、アルミラミネートチューブ、軟膏、結晶粒子に分離しました。図2には結晶粒子のサイズ分布解析結果(立体画像)を示します。粒子は直径で色分けされており、軟膏チューブ全体に直径100~200 µm程度の粒子が分散していることがわかります。

 

B-XRI1027_fig2_Crystal particle size distribution analysis results

図2:結晶粒子のサイズ分布解析結果(立体画像)

図3には結晶粒子のサイズ分布解析結果(ヒストグラム)を示します。ヒストグラムからは、粒子の直径は80~220 µmに分布し、90~140 µmの粒子の個数が多いことがわかります。

 

B-XRI1027_fig3_Crystal particle size distribution analysis results

図3:結晶粒子のサイズ分布解析結果(ヒストグラム)

以上のように、X線CTを用いてチューブのままCT撮影することで、チューブ内の結晶粒子のサイズと、チューブ内での分散状態を把握することができます。チューブから取り出す必要がないため、同一の個体で保存安定試験前後の状態を直接比較することもできます。

 

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