栄養補助食品とその原料の分析
はじめに
21 CFR Part111のもと、栄養補助食品メーカーは、栄養補助食品の製造に使用される成分や添加剤の同一性を確認するために、少なくとも1つの適切な試験方法を使用することが求められています。また、該当する仕様に適合しているかどうかを判断するため、すべての成分の同一性を確認することも必要です。
- Improved quality control
- Increased production efficiency
- Raw material identification (RMID)
迅速な原料の認証
これまで同定の方法は、主観的な官能検査や、時間とコストのかかる研究室分析に頼ってきました。近年、携帯型ラマン分光計が規制を受ける産業における原料の迅速な客観的同定に有効なツールであることが示され、米国薬局方(USP)や欧州薬局方(EP)でも認められています。携帯型ラマン分光計には、様々な栄養補助食品成分を同定・識別できる特異性と、より効率的な研究室外での分析ができる簡便性があります。携帯型ラマン分光計は、多くの種類のビタミン、ミネラル、無機物、アミノ酸、抽出物、一部のハーブおよび一部の植物性食品を分析することができます。図1は、栄養補助食品成分のラマンスペクトルの3つの例を示しています。それぞれの物質が異なるピークパターンを持つため、ラマン分光法により異なる物質を同定することができます。
サンプルからの妨害要素を最小限に抑え、効率を最大限に
リガクの長波長1064 nm励起の携帯型ラマン分光計Progenyの登場により、785 nm励起の携帯型ラマン分光計では分析できない多くの物質が分析可能になりました。1064 nm分析装置を使うメリットを実証するために、785 nm励起と1064 nm励起の携帯型ラマン分光計で栄養補助食品成分(硫酸バナジル)の同定を行いました。図2は、1064nm励起で得られた、蛍光の影響がなく化学的特異性の高いラマンスペクトルで、これにより物質の同定が可能になります。一方、785 nm励起では、ベースラインのブロードな盛り上がりからわかるように、非特異的な蛍光しか示しません。
図 1. アスコルビン酸(緑)、ピコリン酸クロム(赤)、ビタミンB2(青)の1064 nm励起ラマンスペクトル。ラマンピークの特異的なパターンにより、物質の同定が可能になります。
図 2. 785nm(青)および1064nm(赤)で分析した硫酸バナジルのラマンスペクトル。1064 nm(赤)ではピークが視認できますが、785 nm(青)では見えません。
結論
Progeny は化学的な選択性が高いため、同定に最適です。使いやすく、お客様の工程に導入しやすいProgenyは、原料や製品の迅速かつ客観的な合否判定を得る手段を必要な時点で提供し、分析時間とコストを削減しながら品質を向上させます。
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