NCM正極におけるニッケル、コバルト、マンガンの価数分析
アプリケーションノート
BATT1019
はじめに
NCM正極中の遷移金属元素の価数分析には、一般に放射光XAFSが使用されますが、実験室系のX線発光分光装置(XES)でも同様の評価が可能です。Ni、Co、MnのXESスペクトルにおけるケミカルシフトから、結合状態の変化を評価できます。
構成分析
- 分析: 正極材
- 用途: 研究開発
- 分析材料: NCM正極
- 使用機器: XES Chimica
- 解析手法: 自動定量
Figure 1: LiNi₁/₃Co₁/₃Mn₁/₃O₂( NCM(111))正極の 充電前後のNi Kα₁スペクトル
Figure 2: Ni Kα₁、Co Kα₁、Mn Kα₁ のケミカルシフトと充電状態の相関関係
結論
ケミカルシフトと充電深度の相関から、実験室系のXES装置でも価数変化を推算できます。また、XPSでは表面の一部の情報のみしか分析できませんが、XES法では10~20 mm分析径で、数10 μmの深さの平均情報が得られます。
