全固体電解質Li3PS4の局所構造解析

Application Note BATT1015

はじめに

LPSの結晶構造とLiイオン電気伝導度に関連性があることが知られています。ただし、室温付近の場合、LPSは低い結晶性を示すため、リートベルト解析のような構造解析手法を適用することは困難です。そのため、非晶質でも解析可能なPDF解析を用いたRMC(Reverse Monte Carlo)法を適用し、昇温過程における結晶の構造解析を行い、電気伝導性と結晶構造の関係性を調査しました。詳細は、引用論文を参考にしてください。

構成分析

  • 材料: 固体電解質
  • 用途: 研究開発
  • 分析材料:  Li₇P₃S₁₁, LPS全固体電解質
  • 使用機器: SmartLab
  • 解析手法: PDF解析、RMC法

batt1015 figure 1Figure 1: 各温度と保持時間で得られた
PDF解析結果(縦軸G(r)横軸原子間距離)

温度が上昇すると、原子間距離の長距離側ピークが見られるため、温度上昇とともに結晶化が進んでいることを確認できる。


batt1015 figure 2

Figure 2: RMC法により得られた室温(298 K)と523 Kの結晶構造。

Liの分布が、丸印で囲んだ523 Kでみられる局所構造が室温ではガラス状態に広がっている様子が確認できる。

結論

非晶質にも適用できるPDF解析を用いたRMC法を適用することで、温度によって結晶性が大きく変化するLPSの結晶構造を総合的に解析できます。

引用論文

M. Y oshimoto, T. Kimur a, A. Sakuda, C. Hotehama, Y . Shir amata, A. Hayashi, K. Omote, Solid State Ionics, 401 (2023), 116361 (8pp).

 

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