BVS法を用いた価数とリチウムイオン拡散経路の推定
Application Note
BATT1012
はじめに
一般的に正極材料の価数は電池性能に影響を及ぼすため、XAFS (X線吸収微細構造解析)やESCA(X線光電子分光法)等で分析されています。BVS(結合価数和)法により、XRDでも原子間距離から価数を推定することが可能です。また、BVS法の応用により、Liイオンが1価になり易い原子間距離を求めることで、拡散経路を推定できます。
構成分析
- 材料: 正極材料
- 用途: 研究開発
- 分析材料: LiFePO₄, LFP正極
- 使用機器: SmartLab、SmartLab SE
- 解析手法: リートベルト解析、BVS法
Figure 1: LFPのRietveld解析結果と得られた格子定数
(RWP:11.13%, S:1.33)
原子 |
x |
y |
z |
BVS法による価数 |
Li1 |
0 |
0 |
0 |
0.98 |
Fe1 |
0.28231(9) |
0.25 |
0.9744(3) |
1.91 |
Figure 2: Rietveld解析から得られたLiとFeの座標とBVS法から得られた価数(上)とBVS法から推定されたLiイオンの拡散経路(下)
VESTAで描画, K. Momma and F. Izumi, “VESTA 3 for three-dimensional
visualization of crystal, volumetric and morphology data,” J. Appl.
Crystallogr., 44, 1272-1276 (2011).
結論
リートベルト解析で、詳細な結晶構造の解析が可能です。また、BVS法で、価数とLiイオン拡散経路の推定も可能です。