NCM正極材の不純物分析

Application Note BATT1006

はじめに

正極活物質中の微量不純物は、電池特性に影響を及ぼし、劣化を引き起こす要因となります。EDX(エネルギー分散型)では解析が困難な微量のNa、Mg不純物も、WDX(波長分散型装置)により、精度よく分析できます。また、スタンダードレスFP分析により、標準試料による検量線作成なしで、軽元素~重元素のppm ~100%レベルの元素分析が可能です。

構成分析

  • 材料: 中間原材料
  • 用途: 研究開発
  • 分析材料:  NCM正極
  • 使用機器: ZSX PrimusIV
  • 解析手法: スタンダードレスFP法

Table 1: NCM粉末試料のスタンダードレスFP分析結果

 

 

Na

 

Mg

 

Al

 

Si

 

Ca

 

Fe

A

201

152

14915

291

ND

66

B

61

ND

40

339

ND

80

C

61

17

31

115

ND

87

D

160

44

50

258

54

145

E

227

79

164

381

44

21

F

655

30

1119

256

11

104

G

152

72

57

361

86

112

H

300

68

43

246

118

118

I

330

75

51

428

43

24

J

256

63

36

454

97

97


batt1006 figure 1

Figure 1: 波長分散型のXRF(WDX)によるFeスペクトル

結論

XRF分析により、Na、Mg、Al、Si、Ca、Feなどの不純物が検出されました。EDXと比べて、WDXは、高エネルギー分解能で、妨害線の影響を受けにくいため、FeとMnの分離が可能となり、微量のFe不純物も分析できています。

また、WDXは、Na、Mgなどの軽元素でも高感度がるため、広範囲の元素に対して信頼性の高い分析値が得られます。

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