概要:
医薬品開発におけるスクリーニングでは、膨大な化合物データを短時間で解析し、有効成分候補を見極めることが求められています。結晶多形の判別や結晶性評価に有効な粉末X線回折法(XRD)は重要な分析手法ですが、取得した多数のプロファイルを一つずつ解析するには専門知識と時間を要し、効率化が大きな課題となっています。
本Webinarでは、この課題を解決する「多データ解析」のアプリケーション例を紹介します。ウェルプレートなどで得られた大量のXRDデータを一括で処理し、解析結果を可視化することで、目視では見落としがちなパターンの違いや多形の分布を直観的に捉えられ、スクリーニング判断の精度向上につながります。多データ解析にお困りの方のお役に立てるソリューションとなっておりますので、関心のある方はぜひ視聴ください。
このセミナーで学べること
- 多データ解析を用いたXRDデータ処理の最新手法と具体的なアプリケーション
- 大量データを効率的に可視化・整理するための実践的アプローチ
こんな方におすすめ!
- 96wellプレートで得られる多数のXRDデータの解析にお困りの方
- 一括解析や多データ処理の効率化に関心のある方
日時:2026年 2月24日(火) 14:00 ~ 14:45
定員: 500名(無料:事前登録制)
Q&A:
Q1 : 類似度の計算について、何を基準にして計算されますでしょうか。
A: 今回紹介したクラスター解析は、リファレンスデータを使った類似度計算ではなく、類似度マトリックスを用いた解析を行っています。類似度の計算には、各XRDパターンの2θ–強度情報から相関係数を算出し、パターン全体の形状がどれだけ一致しているかを評価しています。ピーク位置や相対強度の違いが、類似度に反映される仕組みです。読み込んだ全データの組み合わせについて総当たりで計算しているため、基準となるデータを設定する必要はありません。
Q2 : 今回のセミナーの内容とは少し外れてしまいますが、ウェルプレートでの測定では無くて、1試料ずつ測定した場合でも、クラスター解析などの利用は可能でしょうか? 併せて、単結晶基板上の多結晶膜のように、強烈なピークに微小な膜のデータが乗る場合も、同様の解析は可能でしょうか?
A: 別々に測定したデータでもクラスター解析は可能です。クラスター解析は今回紹介したDataVisualizationプラグインだけでなく、DataManagerプラグインにてデータを読み込み、クラスタリングしていただくことができます。 また、ご質問で想定されている薄膜のデータの場合、変換条件をXRRや対数スケールなどにすると分類できます。XRRの場合、データに対して振動抽出とフーリエ変換を行ったデータに基づいたクラスタリングが行われます。

Q3 : 多データ解析ツールはWPPFも可能ですか。解析後の多データを数字として出力する事は可能でしょうか?
A: はい、WPPFも対応しております。PowderXRDプラグインで結晶相同定およびWPPF解析条件をテンプレートとして保存し、DataVisualizationプラグインでそのテンプレートを読み込むことで、リートベルト解析による定量などを行うことができます。解析結果は下記画面のように表示され、データはpdfやcsv形式などでレポート出力も可能です。

Q4 : BB光路を使用した96ウェルの反射法で双方向揺働測定を行うにはcbo-fまたはcbo- μなどのマイクロゾーンフォーカス光路が必要ですか?それとも普通のBBのスリットシステムを使えばいいですか?
A: BB光学系の場合、CBO-fやCBO-μの光学系は必要なく、スリットにてビームを絞るのみとなります。なお、揺動の際には低角度側で照射範囲が広がってしまうため、隣接するウェルに照射されないよう揺動範囲を設定する必要があります。
Q5 : 共結晶スクリーニングでは1つのAPIに対して複数のコフォーマー組み合わせを測定することになると思います。各組み合わせのn数は1、もしくは少数となりそうですが、このような条件でも基底プロファイル分解は適用できるのでしょうか?
A: ウェルプレート内の成分数とデータ数をそれぞれM、Nとしたとき、成分数Mに対しデータ数Nが十分に多く、各成分の重量分率の変化が大きい場合に純物質に近いプロファイルが得られやすくなります。いただいたご質問のような、複数のコフォーマーを組み合わせたスクリーニングでは、成分数M>データ数Nとなる、または抽出するためのデータ数Nが少ないため、基底プロファイル分解の適用は難しくなります。
この場合、DD法が有用です。この場合の必須条件としては、①新規結晶相を含むプロファイルがある、②原薬と含まれるコフォーマーのパターンと化学式が既知である、の2点です。新規結晶相を含む測定プロファイルに対し、既知成分のプロファイルを用いたフィッティングを行うことで、測定プロファイル-既知成分の計算プロファイル=新規結晶相のプロファイルとして抽出することができると考えられます。
