アプリケーションノート B-TA1079
はじめに
木材は建材や家具、楽器、食器など広範囲の分野に使用されています。本検討では、湿度変化が木材の膨張・収縮に及ぼす影響について、TMAを用いて評価しました。
測定・解析例
サンプルは、割りばしに使用されている木材(4mm角)を、長さ15mmに切り出して使用しました。
試料は荷重20mNを付加した状態で23℃に保持し、相対湿度をDryから90%RHまで段階的に変化させ、膨張量(収縮量)を測定しました。各相対湿度下の保持時間は4hrとしました。
図1 TMA測定結果
今回、測定開始時の湿度は約35%RHであったため、Dry雰囲気下で保持した際に乾燥に起因する0.016%の収縮が現れています。この収縮をゼロとした場合の各相対湿度下の膨張率を下表に示します。
| Dry | 30%RH | 60%RH | 90%RH | 60%RH | 30%RH | Dry | |
| ΔL % | 0 | 0.13 | 0.32 | 0.49 | 0.56 | 0.34 | 0.14 |
相対湿度の上昇に伴い膨張が観測され、相対湿度の低下により収縮が確認されました。
一方で、湿度上昇過程と低下過程では同一相対湿度でも差が見られ、平衡状態に達するまでの時間に違いがあることが考えられます。特に、90%RHから60%RHへの変化ではこの傾向が顕著であり、相対湿度が低下しても一定時間膨張が継続する挙動が確認されました。
今回の測定結果からは、Dry状態から90%RHに変化した場合、木材は約0.5%膨張することがわかりました。本手法は、木材の湿度変化に対する寸法安定性の簡便な評価に有用であると考えられます。